前回、ちょっとふれましたCarl StoneによるS&Hによってbufferサウンドを再
生するパッチについての続きです。もうすでに、サイト上ではSGPというパッチ
として、そのへんをまとめて、アップロードしていますので、そのパッチをもと
に説明していきたいと思います。ですから、パッチをダウンロードしてから、読
んでいくとわかりやすいと思います。
パッチのダウンロード→
ftp://astrolabel.net/pub/MAX/SGP091.sit
ともかく、前回も紹介したとおり、groove~というオブジェクトは第一インレッ
トにシグナルを受けることによって、再生スピードを設定できると言うことなの
ですが、mspにはさまざまなシグナルを生成するオブジェクトがあります。です
から、これらのオブジェクトを使用することによって、連続的な再生スピードの
変化を生むことができます。これは、アナログシンセなどで、LFOによって、
フィルターをコントロールしたり、音程、音量をコントロールするのにとても似
ていると思います。つまりはbufferサウンドをオシレーターに見立ててモジュ
ラーシンセをつくるような感じなのです。
それでは、実際に使用したオブジェクトについて解説をば。
○sah~
いわゆるサンプル・アンド・ホールドです。アナログシンセをいじったことがあ
る方にはおなじみなのですが、第一インレットと第二インレットにシグナルを受
け、第一インレットにfloa numberを送ることによって、トリガー値となって、
どのくらいのシグナル・レベルから、聴きはじめるかを設定します、つまり、ス
レッショルド値を決定するわけです。
○rand~
シグナル・レベル-1〜1でランダムにシグナルを生成します。[rand 周波数]と
いう書式です。このオブジェクトはcycle~やphasor~といったオシレーター系の
オブジェクトと併用します。詳しくはhelpを見てください。
この他にも、ご存じ、cycle~やphasor~も使用しています。
さらに、もう一つの仕掛けとしてはCarl Stoneのアイディアなのですが、sah~
の第一インレットに受けるcycle^とphasor~を自動的にmetroで切り替わるよ
うにしています。もちろんそれらはumenuにて、マニュアルでも切り替わるよ
うになっていて、それには noise~も選択できるようになっています。また、第
二インレットに受けるシグナルはこれもまたmetroによって、次第に周波数が大
きくなるようになっています。トランスMAXエクスプレスを持っているかたは
p.898のしたのほうのパッチの画像を見ていただければ、どのように活用した
か、わかると思います。
さて、これによって、どんなサウンドになるかといえば、時には、スクラッチの
ように、時にはモジュラーシンセのように、周波数を大きくすれば、FM変調の
ような効果にもなります。いろいろと、切り替えることによって、バリエーショ
ンを生むこともできます。ともかく、音声ファイルをロードしていろいろいじっ
てみてください。サンプラーではできないようなおもしろい効果を生むことがで
きます。
というところで、3回に渡ってお送りしましたbuffer~についてはひとまず終え
たいと思います。まだ、peek~やら、いろいろ残っていますが、それらは他に関
連したことで触れていきたいと思います。ところで、私は来月上旬に取手方面へ
三輪さんのワークショップへ参加することになっているので、次回はそれに関連
したことがなにか書ければと思っています。それではまた、次回。
最後に、このパッチでどんなシグナルが生成されるかをscope~で見てみました。
こうすると、どんな風にgroove~が再生されるか、直感的ですよね。
*それぞれの周波数は20Hzで、rand~及び、
sah~第2インレットにはいるコントロールに使用したphasor~はそれぞれ12Hz,10Hzとなっている。